資産運用
運用方針
生命保険会社の資産運用においては、負債である保険契約の性格を十分に把握し、有価証券等の資産と保険契約という負債を総合的に管理するALM(資産・負債総合管理)が重要であると考えます。
こうした観点から、当社では、有価証券等の資産と保険契約という負債を時価評価して、その差額である剰余が将来の金利変動によっていかなる影響を受けるのかを定量的に評価・分析し、その適切なコントロールを通じて、安定的な収益を確保することを運用の基本方針としています。
具体的には、超長期債券を中心とした運用資産を構成し、金利スワップを併用して剰余(運用資産価値−保険負債価値)の変動を適切にコントロールしつつ、安全かつ有利な運用を行っています。
運用環境
2010年度(平成22年度)前半は、米国景気の二番底懸念や欧州周辺国の財政懸念を背景に先進国経済は下振れへの警戒感が強まりましたが、米国の量的緩和政策を契機に年度後半は景気回復基調となりました。わが国経済も欧米と同様に年度前半は足踏み状態が続きましたが、年度後半は世界経済の緩やかな回復に歩調を合わせ回復してきました。しかしながら、3月の東日本大震災により大きな被害が生じ景気の不透明感が増大することとなりました。
こうした中、長期金利(10年国債利回り)は、年度前半は先進国景気の悪化懸念を背景に1.0%割れまで低下しましたが、その後世界経済の回復期待とともに上昇に転じ年度末は1.3%となりました。
国内株式市場(日経平均株価)は、年度前半は下落基調となり一時9,000円を割り込みましたが、その後景気回復期待から10,000円を超える水準まで上昇しました。しかしながら、東日本大震災後に急落して年度末は9,755円となりました。
為替(ドル円相場)は、年度初から円高・ドル安基調となり、東日本大震災後には一時1ドル76円台という史上最高値まで上昇しました。その後は先進各国の協調介入等から円高の流れは一服し年度末は1ドル82円台となりました。
運用実績の概況
資産配分
2010年度末(平成22年度末)の総資産は2009年度末(平成21年度末)から4,221億円増加し、3兆7,278億円となりました。主な項目は、公社債が3兆1,708億円(総資産に占める比率は85.1%)、外国証券が1,520億円(同4.1%)、買入金銭債権が1,669億円(同4.5%)となっています。
資産運用収支
資産運用収益は728億円、資産運用費用は287億円となっています。この結果、運用利回りは1.24%となりました。
リスク管理
資産運用に関わるリスクには、市場リスク・信用リスク・事務リスクがあり、当社では法務コンプライアンス部が一元的にこれらのリスク管理を行っています。
長期間にわたり予定利率を保証するという負債を持つ生命保険会社の場合は、市場リスクを管理する上で、有価証券等の資産と保険契約という負債の差額である剰余の時価が、将来の金利変動によってどのような影響を受けるかを定量的に評価・分析することが重要と考えます。当社においては、ALM(資産・負債総合管理)の手法を用いて、資産・負債およびその差額である剰余の状況を時価ベースで評価・分析するとともに、必要に応じ金利スワップ等デリバティブ取引も併用しつつ、剰余の変動を適切にコントロールするよう努めています(※)。市場リスクの状況は、定期的に担当役員およびリスク管理委員会委員長に報告しています。
信用リスクについては、与信の状況を日々管理し、定期的に担当役員およびリスク管理委員会委員長に報告しています。
事務リスクについては、投資執行担当部署(経理財務部)と事務担当部署(法務コンプライアンス部)を分離し、内部牽制を図る体制をとっています。
| ※ | 資産・負債の剰余のストレステストとして、時価ベース剰余の金利感応度分析を月次で行っています。金利の変化幅については、ストレスをかけたシナリオ(フォワードレートの上下1.5%変動)を想定しています。 |
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ALMの基本的な考え方
ALMとは、Asset Liability Management(資産・負債総合管理)の略称です。
生命保険契約という負債が持つリスク
生命保険契約は、長期にわたって死亡や疾病に対する保障を提供しています。
このため、収入保険料のうち、将来の保険金などのお支払いに必要な金額を、責任準備金という負債として積み立てています。
責任準備金は、保険金をお支払いするまでの期間、予め決められた一定の金利で計算された運用収益を織り込んで算出されています。しかし、現実の市場金利はこの金利より高いことも低いこともあります。
もし金利が低ければ、小さな運用収益しか見込めないので、責任準備金の金額よりも大きな金額を負債として考えておかなければなりません。逆に金利が高ければ、大きな運用収益を見込めるので、負債として考えておくべき金額は、責任準備金の金額よりも小さな金額でよいということになります。
保険期間が長くなればなるほど、この金利の差による運用収益の差は大きくなりますが、生命保険は大半が10年以上あるいは終身の契約であるため、負債として考えておくべき金額は、金利の変動によって大きな影響を受けることになります。
生命保険会社の資産運用は、将来の保険金などの支払いのための負債の金額が、このような「金利変動リスク」にさらされているということを前提にして考えなければなりません。
当社では、負債の金額に見合った資産を維持して将来の保険金などのお支払いに備えるために、負債の金利変動リスクを定量的に把握し、そのリスクの特性に適合した資産運用を実施しています。
負債のリスクに適合した資産運用とは…(負債が円の場合)
(1)長期円建債券で運用すれば…
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負債のリスクの特性にあわせて、市場金利の変動で価格が変化する円建債券(生命保険契約は長期のものが大半であるため、それにあわせて長期)で運用すれば、金利変動リスクを減らすことができます。
すなわち、図のように、市場金利が低下すれば、負債として考えておくべき金額は大きくなりますが、同様に、債券価格(資産価値)も上昇します。
反対に、市場金利が上昇した場合は、債券価格(資産価値)は下落しますが、このときには負債として考えておくべき金額も小さくなっています。
(2)株式・外貨建資産で運用すると…
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一方、市場金利の変動に直接、価格が連動しない資産(株式や外貨建資産等)で運用すると、資産価値と負債として考えておくべき金額の変動は必ずしも一致しないため、金利変動の影響は大きくなると考えられます。
当社ALMの基本的な考え方
当社のALMでは、負債の金利変動リスクを定量的に把握し、上記(1)のように、円建の負債に対しては長期の円建債券を中心に、米ドル建の負債に対しては長期の米ドル建債券を中心とした資産運用を行っています。
このようなALM管理を継続的に実施することによって、保険金などのお支払いが必要になったときに、それに見合う資産が確保できていることになります。















