ページのコンテンツへジャンプします

がん細胞を狙い撃つ「陽子線治療」

不破 信和(ふわ のぶかず) 先生

中部国際医療センター 陽子線がん治療センター 施設長
不破 信和(ふわ のぶかず)先生

1981年三重大学医学部卒業。医学博士。愛知県がんセンター副院長をはじめ、南東北がん陽子線治療センター長、兵庫県立粒子線医療センター院長を歴任し、2021年より現職。 陽子線治療に10年以上の経験を持つ。

がんの陽子線治療とはどのような治療なのでしょうか?

がん治療は、手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤など)が三大治療法とされており、がんの種類や進行度などをふまえて、単独あるいは組み合わせて行われます。

このうち放射線治療は、放射線を体の外側や内側から当てることにより、がん細胞内のDNAにダメージを与え、がん細胞を破壊する治療法です。臓器を取り除かずに治療ができるので、患者さんの身体機能を温存できる点、また患者さんの負担が少ないことがメリットです。

陽子線治療はこの放射線治療の一種で、水素の原子核である陽子を加速しエネルギーを高めてできる陽子線(粒子線)を照射する治療法です。

従来の放射線治療と陽子線治療の違いを教えてください

従来の放射線治療では、X線やガンマ線という光子線を照射します。X線の放射線は、体の表面近くで一番強いエネルギーを放ち、体の奥へ入るに従って線量は低下し続けます。

一方の陽子線は、設定した場所に到達したときに最大のエネルギーを放出して消失するという性質があります。

このような性質から、病巣の深さや形状に合わせがん細胞の位置で止まるように照射を設定すれば、ピンポイントで集中的に治療する、つまりがん細胞だけを狙い撃つことが可能です。そのため、X線と比べ副作用が少なく、通院で治療を受けることもできます。

陽子線治療の対象となるがんや費用について教えてください。

現在(2025年2月末時点)、陽子線治療で公的医療保険が適用されるのは、前立腺がん、頭頸部がんの一部、早期肺がん、大腸がんの術後再発、小児がんなどです。また、X線では制御が困難であった肝臓がんや膵がんも適用になっています。

一方で、腎臓がんや食道がんなどは先進医療、脳転移や骨転移は自由診療の扱いとなっています。

先進医療や自由診療扱いでの治療となる場合、自己負担が高額となることがありますが、民間の保険を活用することで、治療費をカバーできるケースもあります。なお、公的医療保険が適用される治療の場合は、高額療養費制度を利用することで、治療費の負担が軽減できます。

  • ※民間保険を活用する場合、給付対象となる治療や医療機関の範囲に制限があります。

不破先生が所属する中部国際医療センター 陽子線がん治療センターの魅力を紹介!

中部国際医療センター 陽子線がん治療センター

日本医学放射線学会 放射線治療専門医をはじめとした多職種が、チーム医療で万全な陽子線治療を目指してサポートしています。

  1. POINT1

    スポットスキャンニング方式による効率的な陽子線治療

    米国バリアン社製の世界最新の陽子線治療装置を日本で初めて導入しました。360°さまざまな方向から照射(三次元照射)することができるため、患者さんの負担が軽くなり、正常な組織へのダメージも最小限に抑えます。また、腫瘍(しゅよう)の形状や大きさに合わせて精密に照射することができる「スポットスキャニング方式」で、より効率的な陽子線治療を可能にします。

  1. POINT2

    チーム医療により高品質な治療を実現

    放射線治療の経験を積んだ医師や技師、医学物理士などが一丸となり、万全な陽子線治療の提供に努めています。さらに、中部国際医療センターには34の診療科があり、診療科の垣根を越えた連携をしています。そのため、治療を受ける患者さんにがん以外の病気があっても、必要な精密検査や治療を迅速に受けることができます。また、陽子線治療に伴う副作用があった場合でも、院内の診療科が適切に対応できます。(※2025年2月末時点)

【病院へのお問い合わせ】

HP内のお問い合わせフォームより、ご連絡をお願いいたします。

2503-KR06-028