遺産分割の問題点と生命保険の活用法

• 法定相続分とは、民法で定められている「遺産を相続する割合」です。ただし、遺言や遺産分割協議によって法定相続分以外の割合の相続も可能です。
• しかし、相続財産は遺族の生活を保障するための資産としての側面もあることや、故人に貢献した家族のことなどを考慮し、遺留分として、兄弟姉妹以外の相続人に対する「遺産の最低限の権利」を定めています。したがって、 「遺留分を侵害された」相続人は「遺留分を侵害した」相続人に対し、遺留分を侵害した額に相当する金銭を請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。

（法定相続分と遺留分の割合）

遺産分割時に遺言がなかった場合、経営のために事業用資産のすべてを相続したいと考える後継者と、法定相続分の財産は相続したいと考える他の相続人で意見がぶつかり、やむなく遺産分割せざるを得なくなる可能性があります。
その結果、後継者以外の相続人が株主になり経営権も分割されるため経営に口をはさんできたり、事業用不動産を後継者以外の相続人が相続したことによって買取請求を起こされるなど、後継者が経営に専念できなくなるおそれがあります。

一方、遺言などによって、後継者に事業用資産のすべてを相続させた場合、他の相続人が相続に対して不公平感を持つおそれがありますし、他の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性もあります。
遺留分を侵害している場合には、「遺留分侵害額請求」を起こされる可能性があり、後継者がその支払のために現金を確保する必要があります。

経営のために事業用資産のすべてを相続したい後継者と、法定相続分の財産は確保したい他の相続人で意見がぶつかった際に、やむなく遺産分割・・・ということを避ける方法があります。
それは、後継者から後継者以外の相続人に対し、その不足額を自らの財産から渡すことによって、遺産分割の不公平を“代わりに償う”という「代償分割」を行うことです。
具体的には、生命保険の活用により、保険金を後継者に残すことで代償交付金の原資とします。

後継者が事業用資産を相続し、後継者以外の相続人の遺留分を侵害した場合、「遺留分侵害額請求」を起こされる可能性があります。そこで、生命保険の活用により、保険金を後継者に残し遺留分侵害請求にかかる金銭の交付の原資とします。

• ※上記の生命保険を活用する場合の①②における長男（後継者）が受け取った死亡保険金は、父（経営者）の相続財産ではなく、原則として受取人固有の財産となります。ただし、この死亡保険金は、税制上「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

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