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従業員退職金等

退職金支給額の算定方法

退職金の支給金額を決めるためには、その根拠(算定方法)が必要です。では、いったいどのような算定方法があるのでしょうか?

主な退職金算定方法

賃金連動型

退職時の賃金(基本給)と勤続年数によって退職金を算定する方法です。

<算定方法の例>
退職時の賃金(基本給) × 勤続年数係数 × 退職事由別係数(自己都合または会社都合)

ポイント方式

会社に対する貢献度などをポイントに換算して毎年付与していき、退職時の累積ポイントにより退職金を算定する方法です。

<算定方法の例>
(勤続ポイント+職能ポイント)の累積 × 1ポイントあたりの単価 × 退職事由別係数(自己都合または会社都合)

別テーブル方式

ベースとする金額を賃金(基本給)ではなく役職や等級等に応じて設定し、退職金を算定する方法です。

<算定方法の例>
役職・等級に応じて設定した基礎金額 × 勤続年数係数 × 退職事由別係数(自己都合または会社都合)

定額方式

賃金(基本給)などに関係なく勤続年数のみに連動して退職金を算定する方法で、従業員の成果や賃金にかかわらず勤続年数が同じなら支給額も同額になります。

各算定方法のメリット・デメリット

それぞれの算定方法にはメリット・デメリットがあります。それらを確認したうえで、どの方法を採用するか検討してみましょう。

メリット デメリット
賃金連動型
  • 賃金(基本給)に連動しているため、退職金の算定が容易にできる
  • 「年功序列型」の退職金制度になりやすい
  • 意図せぬ間に退職金の支給予定額が膨れ上がる可能性がある
  • 退職時の賃金(基本給)のみが反映されるため、退職までの会社への功績が反映されない
ポイント方式
  • 退職までの会社への貢献度が反映できる
  • 貢献度は会社の業績にも連動する要素ともいえるので、外部環境の変化にも対応しやすい
  • 従業員もどのようにすれば退職金が増えるかわかるので、仕事へのモチベーションにつながりやすい
  • 退職金算定のために、過去の人事履歴や評価などを把握する必要があり、管理が煩雑になる(導入にあたり、人事労務面でのハードルが高い)
別テーブル方式
  • 賃金(基本給)と切り離しているため、賃金連動型と異なり、将来の退職金支給額をコントロールしやすい
  • 退職時点での役職や等級で基礎金額が決まるため、退職までの会社に対する貢献が反映されない
定額方式
  • 勤続年数のみで算定するため、退職金の支給額が確定している(=最も容易に算定できる)
  • 退職金の支給予定額が不用意に膨れ上がることもなく、会社にとってはメンテナンスが容易
  • 退職までの会社への貢献が退職金に反映されない
  • 頻繁に見直さないと、退職金額が時代に合わなくなる可能性がある(インフレなどによる賃金の上昇に対応できない等)
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退職金算定方法の現状は?

では現状として、各企業はどんな算定方法を採用しているのでしょうか?
下の表を見ると会社によってさまざまな算定方法が採用されていることがわかります。

算定基礎額の種類(複数回答)

算定基礎額の種類(複数回答) 算定基礎額の種類(複数回答)

出典:厚生労働省「平成30年 就労条件総合調査」をもとに東京海上日動あんしん生命にて作成

従業員に長く働いてもらうためには、「従業員が会社への貢献度に見合った評価が得られていると実感できること」が重要となります。したがって、従業員のモチベーションアップにもつながる内容で退職金規程を整備することが、優秀な人材に長く勤続してもらえることにつながります

当Webサイトに記載の法令・税務・制度などは2024年2月現在のものです。
改正などにより変更となった場合には、変更後の内容が適用されますのでご注意ください。
また、個別のお取扱いについては、税理士などの専門家または所轄の税務署などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

株式会社セールス手帖社 保険FPS研究所
執筆プロフィール
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生命保険業界経験者を中心としたエキスパート集団。
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