役員退職慰労金の適正額
経営者の皆さまの勇退後の生活や資産を守るささえとなる「役員退職慰労金」ですが、不相当に高額な部分の金額、すなわち適正な役員退職金の金額を超えた「過大な支払」部分については、損金算入が認められません。

役員退職慰労金の適正額とは
法律(法人税法施行令第70条第2項:過大な役員給与の額)では、次の基準に照らして判断することとなっています。
- ① その役員の「業務に従事した期間(在任期間)」
- ② その役員の「退職の事情」
- ③ その法人と「同業種の法人」・「事業規模が類似する法人」の役員退職慰労金の支給状況
上記では、具体的な「役員退職慰労金の適正額」が示されているわけではありませんので、「いくらまでなら適正なのか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
それぞれの状況に照らした「役員退職慰労金の適正額」を判定するのは税務当局、ということに留意する必要がありますが、過去の判例等にもとづいた具体的な計算方法として以下の方法が知られています。
主な役員退職慰労金の算定方法
功績倍率方式(最終報酬月額方式)
役員最終報酬月額 × 役員在任年数 × 役位別功績倍率
功績倍率方式(最終報酬月額方式)は、最も一般的に採用されている方法です。
ただし、「勇退直前に会社の業績不振で役員給与を引き下げた」場合などは、その金額が「役員最終報酬月額」となるため、それまでの会社への貢献度が退職金に反映されない可能性もあります。
反対に「勇退時期が近づき役員給与を引き上げた」場合、税務当局から否認される可能性もあります。
功績倍率方式(役位別算定方式)
(役位別の報酬月額 × 役位別の在任年数 × 役位別功績倍率) の役位ごとの合計


功績倍率方式(役位別算定方式)は、その役位(役職)ごとの報酬額に、役位ごとの在任年数・功績倍率を乗じた「役位ごとの退職金額」を計算し、最終的に合計する方法です。この方式の場合は、最終報酬月額にかかわらず退職金額を積み上げていくため、 ①の最終報酬月額方式のような問題を回避できる方法と言えます。
1年あたり平均額方式
1年あたり平均退職金額 × 役員在任年数


1年あたり平均額方式は、「同業種かつ事業規模が類似する法人における役員退職金額の実例」を各種資料等で入手し、1年あたりの平均退職金額を計算して求める方法です。

役位別功績倍率

役員の会社への貢献度等を反映した倍率で、同業種・事業規模が類似する法人における平均値とされますが、公表されているものではありません。
当Webサイトに記載の法令・税務・制度などは2024年2月現在のものです。
改正などにより変更となった場合には、変更後の内容が適用されますのでご注意ください。
また、個別のお取扱いについては、税理士などの専門家または所轄の税務署などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
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