医療保険の加入率はどのくらい?世帯年齢・男女・年収・職業別に解説
公的な医療保険が充実しているといわれている日本ですが、公的保険ではカバーできない部分もあります。そこで役立つのが、民間の医療保険です。民間の医療保険には、どのような方々が加入されているのでしょうか。
このページでは、民間の医療保険の加入率を性別・年齢・年収・職業別に分析し、どのような属性の方の加入が多いのかや、医療保険への加入を判断するポイントを解説しています。民間の医療保険への加入を検討する際に参考にしてください。
INDEX
このページの執筆者
原 絢子(はら あやこ)
FPサテライト株式会社 所属FP。大学卒業後、翻訳・編集業務に従事。金融とは無縁のキャリアを積んできたが、結婚・出産を機にお金の知識を身につけることの大切さを実感。以来、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。自分の人生を自分でコントロールするためには、お金について学ぶことが必要との思いから、執筆・監修、セミナー講師などを通して、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。
医療保険の加入率
日本は公的な医療保険が充実しており、医療機関の窓口での支払いは、原則3割の自己負担で済みます。それでも、大きな病気やケガをすると、医療費がかさみ、生活が立ち行かなくなる場合があります。
こうした医療費の負担に備える方法のひとつとして民間の医療保険があります。実際、どのくらいの人が医療保険に加入しているのでしょうか。
生命保険文化センターの「令和4年度 生活保障に関する調査」1)によると、2022年の18~79歳全体の疾病入院給付金付生命保険の加入率は、65.7%です。
同調査では「疾病入院給付金付生命保険」の加入率が示されています。「疾病入院給付金」とは、病気で入院した場合に支払われる給付金のことで、医療保険の基本保障となります。そこでこのページでは、疾病入院給付金付生命保険=医療保険ととらえて、数値をみていくことにします。
出典
1)生命保険文化センター 「令和4年度 生活保障に関する調査」
性別・年齢別の加入率|生命保険文化センターのデータより
まずは、性別・年齢別の加入率をみてみましょう。疾病入院給付金付生命保険の性別・年齢別の加入率は、下の表のとおりです。すべての年代で女性のほうが高く、全体平均は男性60.2%、女性70.1%です。
〈表〉2022年疾病入院給付金付生命保険の加入率(男女年齢別)
年齢 | 男性(%) | 女性(%) |
---|---|---|
全体 | 60.2 | 70.1 |
20歳代 | 28.5 | 43.8 |
30歳代 | 64.4 | 70.2 |
40歳代 | 66.9 | 74.9 |
50歳代 | 70.9 | 78.3 |
60歳代 | 67.8 | 74.9 |
70歳代 | 55.5 | 66.5 |
※生命保険文化センターの「令和4年度 生活保障に関する調査」をもとに筆者作成
年齢別の加入率をみると、男性も女性も同じ傾向にあります。まず、20歳代の加入率は他の年代に比べて著しく低いのですが、30歳代になると大きく上昇します。加入率がもっとも高いのは50歳代で、その後、60歳代、70歳代と徐々に下がっていきます。
年収別の加入率|生命保険文化センターのデータより
続いて、年収別の加入率をみてみましょう。疾病入院給付金付生命保険の世帯年収別の加入率は、下の表のとおりです。
〈表〉2022年疾病入院給付金付生命保険の加入率(世帯年収別)
世帯年収 | 加入率(%) |
---|---|
300万円未満 | 53.7 |
300~500万円未満 | 71.0 |
500~700万円未満 | 77.4 |
700~1,000万円未満 | 80.7 |
1,000万円以上 | 75.9 |
※生命保険文化センターの「令和4年度 生活保障に関する調査」をもとに筆者作成
世帯年収が上がるにつれて加入率も上がっていることがわかります。ただし、加入率がもっとも高いのは700~1,000万円未満で、1,000万円以上になると加入率は下がっています。
職業別の加入率|生命保険文化センターのデータより
最後に、職業別の加入率についても確認しておきましょう。疾病入院給付金付生命保険の職業別の加入率は、下の表のとおりです。
〈表〉2022年疾病入院給付金付生命保険の加入率(男女職業別)
職業 | 男性(%) | 女性(%) |
---|---|---|
自営業者 | 63.2 | 75.4 |
農林漁業 | 58.0 | 74.1 |
商工サービス業 | 65.8 | 78.4 |
常雇被用者 | 68.5 | 72.2 |
公務員 | 71.1 | 74.3 |
民間企業被用者 | 68.3 | 72.0 |
小企業被用者 | 62.0 | 71.7 |
中企業被用者 | 71.0 | 71.3 |
大企業被用者 | 69.0 | 75.0 |
非正規社員 | 47.0 | 76.2 |
無職 | 53.3 | 67.4 |
※生命保険文化センターの「令和4年度 生活保障に関する調査」をもとに筆者作成
男性は常雇被用者(いわゆる正規社員)の加入率がもっとも高く68.5%、次いで自営業者63.2%、非正規社員47.0%、無職53.3%の順となっています。非正規社員や無職の方は医療保険の加入率が低いことがわかります。
女性は非正規社員の加入率がもっとも高く76.2%、次いで自営業者75.4%、常雇被用者72.2%、無職67.4%の順となっています。非正規社員の加入率がもっとも高いうえ、職業による加入率の差が男性に比べて小さいのは、夫が保険料を負担して医療保険に入っているケースも多いためと考えられます。
医療保険への加入を検討する判断ポイント
ここまで、医療保険の加入率についてみてきました。大半の家庭が医療保険に加入しているという現状がありますが、医療保険に加入すべきかどうかは、それぞれの事情によって異なります。
ここからは、どういった場合に医療保険の必要性が高いか、医療保険へ加入する判断ポイントを紹介します。
医療費が高額になってしまった場合に備えたい
前述のとおり、日本は公的医療保険が充実しているため、医療費の自己負担は原則3割で済みます。また「高額療養費」という制度があり、所得に応じて自己負担の上限額が定められているため、青天井で医療費がかかるということはありません。
しかし、入院時の差額ベッド代や食事代など、公的医療保険の対象外の費用もあり、大きな病気やケガをすると、やはり医療費はかさみます。また、一般的に高額の費用が必要とされる先進医療にかかる費用は、全額自己負担です。
こうした自己負担分を十分にまかなえる貯金があれば別ですが、そうでない場合は、医療保険に加入することを検討してみてもよいでしょう。
病気やケガのリスクに備えたい
医療保険は病気やケガに備える保険ですが、実際に病気やケガをするリスクはどのくらいあるのでしょうか。
厚生労働省の「令和2年患者調査」2)によると、2020年10月の人口10万人あたりの入院受療率※は960人です。
年代別にみると、20代は339人、30代は503人、40代は618人、50代は1,142人、60代は2,102人、70代は3,748人、80代は7,868人となっており、年齢が上がるにつれて入院のリスクも高まることがわかります。
特に50代から入院リスクが一段と高まるため、40代、50代の方の医療保険の加入率が高いのもうなずけます。
なお、病気やケガのリスクは年齢が上がるにつれて高まることから、医療保険は加入時の年齢が高いほど保険料も高くなることが一般的です。そのため、若いうちに入っておくほうが、月々の保険料の負担を低く抑えることができます。
ただし、若いうちは収入が少ないことも多いため、保険料の負担が家計を圧迫しないよう、病気やケガのリスクと保険料の負担の両方を考慮して、医療保険への加入を検討しましょう。
※ 入院受療率とは、人口10万人あたりに対する医療機関への入院患者数を表す数値です。
出典
2)厚生労働省 「令和2年患者調査 全国の受療率」
医療保険の加入率を知って、医療保険の加入を検討しよう
このページでは医療保険の加入率や、医療保険への加入を判断するポイントについて解説しました。年齢や年収、性別によって若干の違いはあるものの、医療保険の加入率は全体的にかなり高いという実態があります。病気やケガによる医療費の負担を不安に感じている方が多いことの表れといえます。
医療保険に加入すべきかどうかは、本人や家族の収入や貯蓄状況、病気やケガをした時にどのくらいの公的保障を受けられるかなど、それぞれの事情によって異なります。また、加入時の年齢が高くなればなるほど、保険料も高くなります。そのことも考慮に入れながら、医療保険の加入を検討するようにしましょう。
おすすめ商品
自分にあった保障を保険料とバランスよく準備したい方
掛け捨てはもったいないとお考えの方
健康に不安のある方
健康に不安があり、掛け捨てはもったいないとお考えの方
保険の選び方に迷われた際は、お気軽にご相談ください。
“どんな保険を選んだらいいかわからない”
“ぴったりの保険を教えてほしい”
そんなあなたのギモンにお答えします!
-
分かりやすいパンフレットをお取り寄せ
資料を請求する -
自分に合った保険のプロを選べるようになりました!
保険のプロに無料で相談する